［ポケットMBA］財務諸表分析 ゼロからわかる読み方・活かし方 (PHPビジネス新書)

本書で特に参考になったのは、第8章の「財務諸表を活用しながら、実際の会社の例を用いて数字の読み方を理解」させる点でした。財務諸表分析も①成長性分析、②収益性分析、③効率性分析、④安全性分析、⑤セグメント情報による分析、⑥総合力（ＲＯＥ）分析という順に具体的な企業を2社モデルにして、その特徴を明確に論じていました。SUBARUとスズキ、そして日産とを比較検証することで、その企業の持つ特徴や強みが浮き彫りにされます。214ｐの「有価証券報告書は、上場会社が年に一度外部に公表する決算など会社の状況をまとめた報告書」と基本的な説明の後、その情報の宝庫の読み取り方についても説明されていました。全般的に新書版ですからページ数と文字数の限界があり、もう少し深く知りたいというところで説明が終わっている気がしました。より専門的で結構ですので、企業比較をする場合、もっと深いレベルでの比較する指標の提示があればより企業分析の手法が磨かれると思います。あと、キャッシュ・フローのとらえ方ですね。営業活動、投資活動、財務活動でのキャッシュ・フローのプラスかマイナスの状況での部類わけが明確にしてあれば、企業の資金調達の現状などを知るうえで明確な物差しが持てるのにと思いました。結構この視点は大事だと思っていますので。企業の動向を調べる上で、本書の知識は必須でしょう。